2025/06/04 10:43

神社にお参りする際に、「祈願」と「祈祷」という言葉を耳にされることがあるかと思います。「安産祈願をお願いします」「厄除けの祈祷を受けたいのですが」といったお話をお聞きする中で、この二つの違いについてご質問いただくことがよくございます。

今日は、神社でお仕えしている立場から、「祈願」と「祈祷」の違いや使い方について、お話しさせていただこうと思います。


祈願とは?自分で神さまに願いを伝えること


「祈願」は、皆さまご自身が神社を訪れて、心を込めて神さまに願いを伝える行為のことです。

例えば、お賽銭をお納めして手を合わせ、「健康になりますように」「試験に合格しますように」といった願いを神さまにお伝えする―これが祈願です。正式な儀式は必要なく、日頃のお参りの中で行えるものです。

つまり、ご自分の言葉で直接神さまにお願いする、もっとも身近な信仰の形と言えるでしょう。


祈祷とは?神職が儀式を通して神さまに祈りを捧げること


一方で「祈祷」は、私ども神職が神さまに対して祝詞を奏上し、正式な儀式の中で願いをお取り次ぎするものです。

例えば、次のような場面が祈祷にあたります:

厄除け祈祷
初宮参り
安産祈願(神職による儀式として行う場合)
交通安全祈祷
地鎮祭などの出張祭典
祈祷は神前にて厳粛に執り行われ、神社と神さまの仲介役である神職が、正式な形で祈りを捧げる行為です。


祈願と祈祷の違いについて


祈願と祈祷は、どちらも「神さまに願いを届ける」という点では同じですが、その方法や関わる人、形式には違いがございます。

「祈願」は、皆さまご自身が神社にお参りし、手を合わせてご自分の言葉で神さまに願いごとをお伝えする行為です。特別な準備や儀式は必要なく、どなたでも日頃から行える、もっとも身近な信仰の形です。「試験に合格しますように」や「家族が健康でありますように」といった願いを、心の中で唱えながら手を合わせるのが祈願です。

一方の「祈祷」は、私ども神職が祝詞を奏上し、正式な儀式として神さまに願いをお届けするものです。神前にて厳粛な雰囲気の中で行われる祈祷は、皆さまと神さまとの橋渡しとして、神職が仲立ちをしながら執り行います。厄除け、安産、交通安全、初宮参りなどが代表的な例です。

つまり、祈願は「ご自身が神さまにお願いすること」、祈祷は「神職にお願いして、儀式として神さまに願いを届けてもらうこと」と言えるでしょう。それぞれの目的や状況に応じて、使い分けていただければと思います。


祈祷を受けたいときはどうすればよいか?


祈祷をお受けになりたい場合は、あらかじめ神社にご連絡・ご予約いただくことをお勧めいたします。神社によっては当日でもお受けできる場合もございますが、行事や予約の状況によってはお受けできないこともございます。

また、最近ではオンラインでの祈祷や御守りの授与を行っている神社も増えてまいりました。当神社でも、遠方の皆さま向けにオンライン祈祷を行っておりますので、ご興味のある方はぜひお問い合わせください。


おわりに


祈願と祈祷の違いを知っていただくことで、神社でのお参りや祈りの時間がより深いものになるかもしれません。日々の中でご自身で神さまに願いを届ける「祈願」、特別な節目や願いのときに神職にお取り次ぎいただく「祈祷」―それぞれに意味がございます。

どちらも、神さまとのご縁を結ぶ大切な行いです。

皆さまの願いが神さまに届き、健やかな日々をお過ごしになられますよう、心よりお祈り申し上げております。