2025/06/04 14:24

神札とは、神社から授かる神様の分霊をおまつりするお札のことです。ご自宅に神札をお祀りすることで、家内安全や無病息災など、日々の平穏を願う日本の大切な習慣ですね。

ただ、「どこに置いたらいいの?」「方角は関係あるの?」「複数あるときはどうするの?」など、正しい扱い方がわからず戸惑われる方も少なくありません。

この記事では、現役の神社宮司として、神札の読み方から、ご自宅での置き方・並べ方まで、わかりやすくお話しさせていただきます。


神札とは?読み方と意味について


「神札」は"しんさつ"と読みます。
これは、神社からいただくお札で、そこにはその神社の神様のご神霊(分霊)がお宿りになっているとされています。神棚にお祀りし、日々感謝を込めてお参りすることで、神様とのご縁を深める大切な意味があるのです。

地域によっては「おふだ」と呼ぶこともありますが、どちらも同じものを指しています。


神札はどこに置く?神棚がなくても大丈夫


最も一般的なのは、神棚に神札をお祀りする方法です。神棚は清浄な場所に設けるのが基本で、なるべく高い位置(目線より上)、明るく静かな場所が理想とされています。
でも、神棚がないご家庭でも心配はいりません。以下のような方法で神札を大切にお祀りできます。

・タンスの上や本棚の上など、清潔で落ち着いた場所に白い布を敷いて専用の台を作る
・小さな壁棚や神札立てを活用する
・お札立てを100円ショップや通販で購入するのも十分です

大切なのは、神様を敬う心です。立派な神棚がなくても、清潔で静かな場所であれば問題ありません。

避けたい場所

トイレや洗面所の近く
騒音の多い場所
人がよく通る廊下
湿気の多い場所


方角と向きについて


神札を置く際には、南向きまたは東向きが良いとされています。これは、神様の正面が明るい太陽に向くようにという考えからです。

具体的には、神棚(またはお札)を南向きにして北側に設置するか、東向きにして西側に設置するのが理想的です。

ただし、住宅事情で理想的な方角に設置できない場合もあるでしょう。そんな時は無理をせず、できる範囲で構いません。「神様を敬う」という気持ちが何より大切なのです。


神札が複数ある場合の並べ方


複数の神札をお祀りする時の基本的な順番があります(正面から見て)

中央:伊勢神宮の神札(神宮大麻)
右側(向かって左):氏神様(地元の神社)
左側(向かって右):崇敬神社(その他よく参拝する神社)

この順番は、神道の考え方に基づいた格式を表しています。ただし、神札が一つしかない場合や、どの神社のものかわからない場合は、中央に置いていただければ大丈夫です。

神札が多い場合の工夫

神札の数が多くなった場合は、重ねてお祀りしても問題ありません。その際は、格式の高い順に前から並べるか、同じ大きさのものを重ねて置きましょう。


神札の交換時期と古いお札の扱い方


神札は一年に一度、年末年始に新しいものに取り替えるのが一般的です。これは、神様を新たにお迎えし、清々しい気持ちで新年を迎えるためです。

古い神札の納め方

理想的:授与いただいた神社にお返し
遠方の場合:近くの神社に納めても大丈夫
郵送対応:最近は郵送で受け付けている神社も増えています
どんど焼き:地域のどんど焼きで一緒にお焚き上げしてもらう

決して一般のゴミとして処分せず、必ず神社やお寺で適切にお焚き上げしてもらいましょう。


日々のお参りの仕方


神札をお祀りしたら、できるだけ毎日お参りしましょう。特別な作法は必要ありません。

基本的なお参りの流れ

身を清める:手を洗い、口をすすぐ
一礼:神札の前で軽く一礼
二拝二拍手一拝:深いお辞儀を2回、拍手を2回、最後に深いお辞儀を1回
感謝の気持ち:日々の無事への感謝を心で唱える

時間がない時は、手を合わせて「ありがとうございます」と心で唱えるだけでも十分です。


よくある質問


Q: 神札は写真や複製でも効果はありますか?
神札は神社で正式に授与されたもの(分霊されたもの)でないと、本来の意味はありません。できれば直接神社を参拝して授与していただくのが理想です。

Q: 引っ越しの時はどうしたらいいですか?
神札も一緒にお持ちいただいて構いません。新居でも清浄な場所に改めてお祀りしてください。

Q: 他の宗教を信仰していても神札を祀って大丈夫ですか?
これは個人の信念によりますが、神道は他の宗教と排他的ではありません。ただし、ご自身の信仰に照らして判断されることをお勧めします。


まとめ:神様を迎える気持ちを大切に


神札を正しくお祀りすることは、神様とのご縁を深め、日々の暮らしに感謝の心を持つことにつながります。完璧を目指す必要はありません。「神様を敬い、大切に思う気持ち」を何よりも大事にしていただければ、それが一番のおまつりの仕方なのです。

現代の住宅事情では、昔ながらの作法通りにいかないこともあるでしょう。でも、神様は私たちの気持ちをよくご存知です。できる範囲で、心を込めてお祀りしていただければ、きっと神様もお喜びくださることでしょう。

何かご不明な点がございましたら、お近くの神社にお気軽にご相談ください。私たち宮司は、皆様が安心して神様をお迎えできるよう、いつでもお手伝いさせていただきます。