2025/06/14 10:35
神社にお参りに行くとき、「この服装で大丈夫かな?」と鏡の前で悩んでしまうことってありますよね。普段着だと失礼になってしまうかも…でも、スーツを着るほどでもないし…。そんな風に迷われる方は実はとても多いんです。
現役の宮司として多くの参拝者の方々とお会いする中で、皆さんが抱くそんな疑問にお答えしたいと思います。季節に応じた服装のポイントや、旅行先での参拝、小さなお子さん連れでのお参りでも安心できる服装のコツまで、実際の経験を交えながらお話しします。
基本は「清潔感」と「TPO」|フォーマルすぎなくても大丈夫
神社は神様がお鎮まりになる神聖な場所です。だからといって、必ずしも正装でなければならないということはありません。一番大切なのは、「神様に失礼のないよう心を込めてお参りしたい」という気持ちを服装で表現することなんです。
普段お召しになっている服でも、きちんと洗濯されていて、しわがなく、派手すぎない色合いであれば全く問題ありません。ただし、海水浴帰りのような極端にラフな格好や、あまりにも肌の露出が多い服装は、やはり神様の前では控えめにしていただきたいところです。
女性の方でしたら、ミニスカートや胸元・背中が大きく開いた服装は避けていただき、男性の方も短パンやタンクトップは控えて、きちんとした印象を与える服装を心がけていただければと思います。「今日は神様にお会いしに行くんだ」という気持ちで服を選んでいただくのが一番ですね。
季節別|服装選びのポイント
季節によって、参拝時の服装で気をつけていただきたいポイントも変わってきます。実際に境内を歩く際の快適さも考慮しながら、季節ごとのおすすめをご紹介します。
春・秋
この季節は朝晩の気温差が大きいですから、調整しやすい服装がおすすめです。薄手のカーディガンやジャケットを羽織れるようにしておくと安心ですね。淡い色合いのブラウスやシャツに、きれいめのパンツやスカートを合わせていただくと、季節感もあって素敵だと思います。
夏
暑い夏でも、神社の境内は木陰が多く、意外と涼しく感じられるものです。とはいえ、あまりにも露出の多い服装は控えていただきたいところ。綿や麻などの天然素材で作られた、風通しの良いシャツやブラウスがおすすめです。足元はサンダルでも構いませんが、かかとにストラップがあるものなど、きちんと感のあるデザインを選んでいただけると良いでしょう。
冬
寒い季節は防寒対策も大切ですが、あまり派手な色のコートよりも、紺色やグレー、ベージュなどの落ち着いた色合いでまとめていただくと品良く見えます。マフラーや手袋も同様です。帽子をかぶっていらっしゃる場合は、鳥居をくぐる前に脱いでいただくのがマナーです。これは神様への敬意を表すためなんですよ。
旅行中や子連れ参拝の場合は?
旅行先で偶然見つけた神社にお参りしたくなったり、観光コースに組み込まれていたりすることもありますよね。そんな時は、どうしてもカジュアルな服装になってしまうものです。でも、心配しないでください。
そういった場合でも、最低限の心がけとして、帽子やサングラスは外していただく、汚れた靴は履き替える(難しければ軽く汚れを拭き取る)といった配慮をしていただければ十分です。大切なのは「神様への敬意を忘れない」という心持ちなんです。
お子さん連れでの参拝も、もちろん大歓迎です。神社は古くから地域の子どもたちの健やかな成長を見守ってきた場所でもあります。お子さんの服装については、動きやすく清潔であれば問題ありません。ただし、境内では大声を出したり走り回ったりしないよう、保護者の方がしっかりと見守っていただけると助かります。神社は静寂な祈りの場でもありますから、その雰囲気を大切にしていただければと思います。
靴・アクセサリー・香水などの注意点
細かい部分についても、いくつかポイントをお伝えします。
靴について
ヒールのある靴でも全く問題ありませんが、多くの神社には砂利道や石段があります。歩きにくい靴だと、せっかくのお参りが台無しになってしまうことも。また、コツコツと響く音が境内の静寂を破ってしまうこともありますので、できれば歩きやすく音の出にくい靴を選んでいただければと思います。ご祈祷を受ける際などは靴を脱いでいただくこともありますので、清潔な靴下を履いておかれると安心ですね。
アクセサリーについて
おしゃれを楽しんでいただくのは素晴らしいことですが、あまりにも派手なアクセサリーや、歩くたびにジャラジャラと音の出るものは控えめにしていただけると良いでしょう。シンプルで上品なものでしたら、全く問題ありません。
香りについて
これは意外に思われるかもしれませんが、あまりにも強い香水や柔軟剤の香りは、神様への礼を失するとされることがあります。日本の神道では、清らかで自然な状態を重んじる考え方があるんです。参拝の際は、できるだけ控えめにしていただければと思います。
まとめ|神様への敬意を込めた服装を
神社参拝の服装について、絶対的なルールがあるわけではありません。でも、大切なのは「神様にお会いするのにふさわしい装いを心がける」という気持ちなんです。
清潔で落ち着いた服装であれば、それがTシャツにジーンズでも十分に敬意を表すことができます。迷った時の判断基準として、「この服装で、尊敬する方にお会いできるかな?」と考えてみてください。きっと良い判断ができると思います。
神社は決して敷居の高い場所ではありません。日々の暮らしの中で、ほんの少しの心配りを服装に込めていただくことで、より心静かで充実したお参りの時間を過ごしていただけることでしょう。ぜひ、気軽にお参りにいらしてくださいね。