2025/06/27 14:14
「お守りっていくつも持っていても大丈夫なの?」「違う神社のお守りを一緒に持っていたら、神様同士が喧嘩してしまわない?」
お守りを大切に思う方ほど、こんな疑問を抱かれることが多いのではないでしょうか。実際、私のところにも参拝者の方からよくこうしたご相談をいただきます。
神社に奉職する身として、皆様のそうした素朴な不安にお答えすることは、とても大切な役目だと感じています。この記事では、お守りを複数持つことの意味やマナー、異なる神社のお守りを持つ場合の考え方について、現役の宮司が心を込めて解説いたします。
お守りは複数持っても大丈夫?
結論から申し上げますと、お守りは複数持っても全く問題ありません。
お守りは、それぞれの「願い事」や「お守りいただきたい場面」に合わせてお授けするものです。交通安全、健康長寿、学業成就、家内安全、厄除け、恋愛成就など、私たちの人生には様々な願いがありますよね。
ひとつのお守りで全てをまかなうというより、ご自分やご家族に必要なご加護を願って、それぞれに適したお守りをお授かりいただくのは、むしろ自然で素晴らしいことだと思います。
実際、私たち神社でも多種多様なお守りをご用意しているのは、参拝者お一人お一人の多様な願いに寄り添いたいからなのです。お守りに込められた想いの数だけ、神様のご加護もいただけると考えていただいて結構です。
神社が違っても問題ないの?
「A神社のお守りと、B神社のお守りを一緒に持っていると、神様同士が喧嘩してしまう」という話を耳にされたことがある方もいらっしゃるかもしれません。
でも、神様はそんなに心の狭い存在ではありません。 異なる神社のお守りを大切にお持ちいただいても、神様同士が争われることは決してないのです。
むしろ、日本の神道には「八百万(やおよろず)の神々」という美しい考え方があります。これは、無数の神様がそれぞれの得意分野や役割を持って、調和しながら私たちを見守ってくださっているという思想です。
天照大御神、稲荷大神、菅原道真公、お地蔵様など、それぞれに異なる特性やご利益をお持ちの神仏が、まるで大きな家族のように連携して私たちを支えてくださっているのです。
神社が違っても、感謝の気持ちを持ってお守りを大切にしていれば、それこそが何より尊いことなのです。
お守りを複数持つときの心がけとマナー
複数のお守りをお持ちいただくのは問題ありませんが、いくつか心に留めておいていただきたいマナーがあります。
お守りを丁寧に扱うこと
カバンの奥底でくしゃくしゃになっていたり、埃をかぶったまま放置するのは避けましょう。小さな巾着袋に入れたり、財布の大切な場所に納めるなど、敬意を持って扱ってください。
どちらの神社でお授かりしたか覚えておくこと
感謝の気持ちを忘れずに、どこの神社でいただいたお守りかを覚えておきましょう。お返しする際にも迷わずに済みますし、何より神様への礼儀でもあります。
定期的にお参りして感謝を伝えること
お守りをいただいたら、それで終わりではありません。可能な範囲で構いませんので、時々神社にお参りして感謝の気持ちをお伝えください。遠方の神社であれば、心の中でお礼を申し上げるだけでも十分です。
1年を目安にお焚き上げを検討すること
お守りに明確な「使用期限」があるわけではありませんが、多くの方が1年に一度、感謝を込めて神社にお返しされています。古いお守りは適切にお焚き上げしていただき、新しい気持ちで新たなお守りをお授かりするのも良いでしょう。
よくある質問にお答えします
Q: 同じ種類のお守り(例:交通安全)を複数の神社で授かっても大丈夫?
A: もちろん大丈夫です。それだけ真剣に安全を願う気持ちの現れですから、神様もきっとお喜びになるでしょう。
Q: 家族全員分のお守りを一人で持っていても効果はありますか?
A: はい、問題ありません。家族への愛情を込めてお持ちいただければ、それぞれにご加護をいただけます。
Q: お守りを失くしてしまった場合はどうすれば?
A: 心配いりません。お守りを大切に思う気持ちがあれば、失くしたからといって罰が当たることはありません。
まとめ|神様への真心こそが一番大切
お守りはひとつでなければならないという決まりは全くありません。一番大切なのは、どのお守りも心を込めてお持ちいただき、神様への感謝の気持ちを忘れないこと。
それぞれの神社にはそれぞれの歴史があり、異なるご祭神がお祀りされ、特色あるご利益があるのは当然のことです。そうした多様性こそが、日本の神道文化の豊かさでもあります。
現代を生きる私たちには、仕事のこと、健康のこと、家族のこと、様々な心配事があります。そんな時、複数の神様にそれぞれの分野でお守りいただけるというのは、とても心強いことではないでしょうか。
どうか安心して、皆様の心に寄り添うお守りを大切にお持ちください。きっと神様も、そんな皆様の真摯な気持ちを温かく見守ってくださることでしょう。