2025/06/27 16:30

神社を訪れると、美しい朱塗りの鳥居や静寂に包まれた境内の風景に、思わずカメラやスマートフォンを向けたくなりますよね。

「でも、神社で写真を撮っても本当に大丈夫なの?」「参拝中の撮影って、神様に失礼にならない?」

こんな心配をお持ちの方、実はとても多いんです。実際、参拝者の方からもよく「写真を撮っても良いですか?」とお声をかけていただきます。

神社に奉職する身として、皆様が安心して参拝と撮影を楽しんでいただけるよう、この記事では神社で写真を撮る際に気をつけたいマナーや、撮影を避けるべき場所・タイミングについて、現役の宮司がわかりやすく解説いたします。

正しい知識を身につけて、心を込めた参拝とともに、素敵な思い出の一枚を残していただければと思います。


神社での写真撮影は「原則OK」だが配慮が必要


結論から申し上げますと、多くの神社では境内での写真撮影は特別に禁止されていません。 鳥居や社殿、季節の花々や緑に囲まれた神聖な空間は、旅の思い出やSNSへの投稿にもぴったりの被写体ですね。

ただし、「撮影できる=何をしても自由」というわけでは決してありません。 神社は神様がお鎮まりになる神聖な場所であり、他の参拝者や私たち神職への配慮が欠かせません。

特に大切なのは、静寂な雰囲気を乱さないこと。 神社の持つ特別な空気感を大切にしながら撮影していただくことが、何より重要なのです。

実際、私が日々境内で目にする光景でも、マナーを守って静かに撮影される方がほとんどです。そうした心遣いに、神様もきっと微笑んでくださっていることでしょう。


撮影を避けるべき場所・タイミングとは?


神社によっては、撮影を明確に禁止しているエリアがあります。以下のような場所や状況では、撮影を控えるのがマナーです。

本殿・拝殿の内部
神様が実際にお鎮まりになる最も神聖な空間です。一般の方が立ち入れない場所での撮影は避けましょう。

ご祈祷中・祭典中
神事が行われている際は、撮影だけでなく音を立てる行為も控えてください。厳粛な雰囲気を大切にすることが重要です。

他の参拝者が写り込む構図
知らない方を無断で撮影することは、プライバシーの観点からも避けるべきです。

神職や巫女を無断で撮影する行為
私たちも一人の人間です。撮影したい場合は、ぜひ一声おかけください。

撮影禁止の掲示がある場所
各神社で特別に定められた規則は必ず守りましょう。

特に祈祷中や神事の際は、フラッシュはもちろん、シャッター音も意外と響くものです。無音カメラ機能を使ったり、そもそも撮影を控えたりする配慮をお願いします。


写真撮影で守りたい基本マナーとは?


撮影する際には以下のような基本的なマナーを守ることで、神様にも他の参拝者にも敬意を示すことができます。

まずは参拝から始めましょう
神社に来たら、撮影よりも先に神様にご挨拶を。これは参拝の基本中の基本です。心を整えてから撮影に臨むと、きっと良い写真が撮れますよ。

鳥居の中央では立ち止まらない
鳥居の真ん中は神様の通り道とされています。撮影のために長時間立ち止まることは避け、端の方で撮影しましょう。

音や声のボリュームに注意
大きな声での会話や、連写音が響くような撮影は控えめに。静寂を重んじる神社の雰囲気を大切にしてください。

SNSに投稿する際はプライバシーに配慮
他の参拝者が写っている場合は、顔が判別できないよう加工するなどの配慮をお願いします。

ゴミは必ず持ち帰る
境内を汚すことなく、清潔に保つことも参拝者としての大切なマナーです。

撮影に夢中になるあまり、周囲への配慮を忘れてしまっては本末転倒。神社は「心を静める場所」であることを常に意識していただければと思います。


撮っておきたいおすすめの被写体と工夫


神社の魅力を写真で表現するには、以下のような被写体や構図を意識すると良いでしょう。

鳥居越しに本殿を望む構図
神社らしさが最も表現できる定番の構図です。鳥居が額縁のような役割を果たし、奥行きのある美しい写真になります。

参道の石畳と木漏れ日
長い参道の奥行き感と、木々から差し込む光が作り出す陰影は、神社ならではの神秘的な雰囲気を演出します。

季節の移ろいを感じる風景
春の桜、夏の新緑、秋の紅葉、冬の雪景色など、四季それぞれに神社は異なる美しさを見せてくれます。

手水舎での清めの瞬間
参拝前の身を清める所作も、神社での大切な行為の一つ。静かに撮影すれば良い記念になります。

御朱印や授与品(撮影OKの場所で)
参拝の記念として、授与所などの許可された場所での撮影なら問題ありません。

また、参拝後に撮影することをお勧めします。神様にきちんとご挨拶を済ませた後なら、心も落ち着いて、より丁寧で美しい一枚が残せることが多いのです。


撮影前に確認しよう|迷ったら神職に相談を


どの神社にもそれぞれの歴史や考え方があり、撮影に関するルールも微妙に異なることがあります。

もし撮影して良いか迷う場合は、境内の掲示板や案内板をまず確認してみてください。そして、それでも不安な時は、遠慮なく私たち神職にお声をかけてください。

「この場所で写真を撮らせていただいても大丈夫でしょうか?」と一言お尋ねいただければ、喜んでお答えします。むしろ、そうした心遣いをしていただけることを、私たちは大変嬉しく思います。

また、神社によっては撮影スポットとして特におすすめの場所があったり、撮影のコツをお教えできたりすることもあります。お気軽にお声をかけていただければと思います。

マナーを守った撮影は、神社との良好な関係を築くことにもつながりますし、その神社を多くの方に知っていただく機会にもなります。


まとめ|神様への敬意を忘れずに素敵な思い出を


神社での写真撮影は基本的に可能ですが、「心を込めて神様に敬意を表する」という気持ちが大前提です。

静寂に包まれた境内や、自然と調和した美しい建築物は、確かに写真撮影にとても魅力的な被写体です。でも、その美しさや神聖さを損なうことなく、マナーを守って撮影していただくことが何より大切なのです。

神社は観光地である前に、神様がお住まいになる神聖な場所であることを忘れずに。そして、同じ空間を共有する他の参拝者への思いやりも忘れずに。

そうした心遣いがあれば、きっと神様もあなたの撮影を温かく見守ってくださることでしょう。素敵な思い出の一枚と共に、心に残る参拝体験をしていただければと思います。