2025/07/16 16:10

神社にお参りする際、「正式参拝(昇殿参拝)」という言葉を目にしたことはありませんか?

日頃、私たちが行う一般参拝は、いつでも自由に行えるものですが、正式参拝は拝殿に上がって神職の案内のもとで執り行う、より丁寧で格式のある参拝方法です。

「どうやって申し込むの?」「どんな作法があるの?」「一般参拝とは何が違うの?」と疑問を持たれる方も多いでしょう。

この記事では、神社の宮司である私の立場から、正式参拝の意味や流れ、一般参拝との違いについてわかりやすくご紹介します。初めての方でも安心して参拝できるよう、服装やマナーについても詳しく解説いたします。


正式参拝(昇殿参拝)とは?


正式参拝とは、神社の拝殿内に昇殿し、神職の案内のもとで神様に感謝や祈願の気持ちをお伝えする、格式の高い参拝方法です。

「昇殿参拝(しょうでんさんぱい)」とも呼ばれ、人生の節目における儀礼や特別な祈祷を受ける際などに行われます。通常の一般参拝とは異なり、玉串奉奠(たまぐしほうてん)や祝詞奏上(のりとそうじょう)といった神道の作法に則って進められます。

実際に拝殿内に入ることで、神様のより近くでお祈りすることができるため、参拝者にとって特別な体験となります。多くの方が「心が洗われるような気持ちになった」「普段とは違う神聖な空気を感じた」とおっしゃいます。


一般参拝との違いとは?


一般参拝は、神社の拝殿前で行う自由な参拝で、誰でもいつでも行うことができます。お賽銭を入れて、二礼二拍手一礼の作法でお参りする、皆さんがよくご存じの参拝方法です。

一方、正式参拝は事前予約や受付が必要で、神職が立ち会う中で執り行われます。また、正式参拝では拝殿内に入り、神様のより近くで祈ることができるため、より丁寧な心持ちが求められます。


正式参拝の流れ


正式参拝には、以下のような流れがあります。神社によって細かな違いはありますが、おおまかな流れは共通しています。

1. 受付・初穂料の納め

拝殿前や社務所で正式参拝の申し込みを行い、初穂料(祈祷料)を納めます。この際、お名前や住所、祈願の内容を記入していただきます。初穂料の目安は5,000円からとなっていることが多いですが、神社によって異なりますので、事前にお問い合わせください。


2. 拝殿への昇殿

神職の案内のもと、拝殿へ案内されます。靴を脱ぎ、丁寧な所作で昇殿します。このとき、心を落ち着けて、神聖な空間に入ることを意識しましょう。


3. 祓い清め(お祓い)

参列者の穢れを祓い、清らかな心で神前に向かうためのお祓いを受けます。大麻(おおぬさ)という神具を使って、左、右、左の順に祓い清められます。この間は頭を軽く下げて、静かに受けましょう。


4. 祝詞奏上(のりとそうじょう)

神職が神様に向けて、感謝や願いごとを読み上げます。参列者の皆様のお名前や祈願内容も含めて奏上いたします。この間は静かに聞き入り、神様への感謝の気持ちを込めましょう。


5. 玉串奉奠(たまぐしほうてん)

榊(さかき)の枝に紙垂(しで)をつけた玉串を、神前にお供えし、拝礼します。玉串の受け取り方や奉奠の仕方については、その場で神職が丁寧にご説明いたします。初めての方でも心配はいりません。


6. 撤下品授与(てっかひん)

神様のお下がり(撤下品)として、お守りや記念品などが授与されることがあります。これらは神様の御加護をいただいたものですので、大切にお持ち帰りください。


正式参拝時の服装とマナー


正式参拝は神様の御前に上がる神聖な儀式です。服装や態度にも気を配ることが大切です。

服装について

清潔感のある服装が基本です。男性はスーツやジャケット、女性は落ち着いたワンピースやスーツなど、派手すぎない装いが望ましいです。サンダルや露出の多い服装は避け、きちんとした靴を履いてお越しください。お子様の場合も、制服や清楚な服装が適しています。


所作について

姿勢を正し、静かに振る舞うようにしましょう。私語やスマートフォンの操作は控えるのが礼儀です。神職の指示に従い、落ち着いてお参りください。


撮影について

昇殿中の写真撮影は禁止されている場合が多いため、必ず事前に神職に確認しましょう。記念撮影をご希望の場合は、儀式終了後に境内の適切な場所で行うことができます。


どんなときに正式参拝するの?


正式参拝は、以下のような人生の節目や祈願の際に行われることが多いです。

人生儀礼として

・初宮詣(お子様の健やかな成長を願って)
・七五三(お子様の成長に感謝し、今後の健康を祈願)
・成人式(大人への成長を神様にご報告)

祈願・祈祷として

・厄除け・方位除け(災いを避け、平安を祈願)
・安産祈願・家内安全(家族の幸せと健康を祈願)
・合格祈願・商売繁盛(学業や仕事の成功を祈願)
・病気平癒・交通安全(健康と安全を祈願)

特別な機会として

結婚報告(新しい人生の出発をご報告)
地鎮祭や新築祈願の前に
年始の特別な祈願として

私の経験では、特に人生の転機や大切な願いがあるときに正式参拝をされる方が多くいらっしゃいます。


まとめ|正式参拝を通して、より深いご縁を


神社の正式参拝は、一般参拝よりも丁寧で格式のある神事です。神様への感謝や願いを真摯に伝える貴重な機会であり、自分自身と向き合う特別な時間にもなります。

初めての方も、事前に申し込みの方法や作法を確認すれば安心してご参加いただけます。分からないことがあれば、遠慮なく神職にお尋ねください。私たちは皆様が心を込めてお参りできるよう、丁寧にサポートいたします。

神様とのご縁をより深く感じたい方や、人生の節目に心を込めて祈願したい方は、ぜひ一度正式参拝を体験してみてください。きっと特別な体験となることでしょう。

また、正式参拝後は、その時の気持ちを大切にし、日常生活の中でも神様への感謝を忘れずに過ごしていただければと思います。それこそが、真の意味でのご利益につながるのではないでしょうか。