2025/07/16 16:28

「神社に願いごとをしたのに叶わなかった…」と感じたことはありませんか?

神社は古来より、人々が心を込めて祈りを捧げる場所です。しかし、お願いが思うように実現しないと「やっぱり意味がなかったのでは?」と疑問に思う方もいらっしゃるでしょう。

実は、私のもとにも「参拝したのに願いが叶わなかった」というご相談をいただくことがあります。そのたびに、神社の本来の意味や祈りの心構えについてお話しすることがあるのです。

この記事では、現役の神社の宮司である私が「願いが叶わない理由」について、よくある誤解や正しい祈願の心構えを解説します。神様に願いを届けるために、今一度、祈りの意味や参拝の仕方を見直してみませんか?


そもそも神社は「願いを叶える場所」ではない?


多くの方が「神社=願いを叶えてくれる場所」と思われがちですが、神社は本来、神様に感謝と祈りを捧げる場所です。

私がよくお話しするのは、神様は私たちに試練や成長の機会を与えてくださる存在であって、「お願いを聞いてくれる自動販売機」ではないということです。これは決して冷たい言葉ではありません。神様は私たちがより良い人生を歩めるよう、時には厳しい試練を通して成長させてくださる、慈愛深い存在なのです。

願いが叶うかどうかは、自分の努力や日々の心がけによって大きく変わります。参拝は、その決意を神様に誓うような行為と考えるとよいでしょう。

実際に、私が見てきた中で願いが実現された方々の多くは、参拝後に具体的な行動を起こし、困難に立ち向かう努力を続けておられました。神様は、そうした真摯な姿勢を見守り、時に背中を押してくださるのです。


願いが叶わないときによくある誤解


願いごとが実現しない背景には、以下のような誤解や行動があることが多いです。長年宮司を務めていると、こうした傾向がよく見えてきます。

お願いだけして、自分では何も行動しない

これは最も多いパターンです。「合格祈願をしたから勉強しなくても大丈夫」「商売繁盛を祈願したから努力しなくても売上が上がる」と思われる方がいらっしゃいますが、祈願と努力はセットです。神様は「頑張る人」を後押ししてくださいます。


欲望だけをぶつけてしまう

「お金持ちになりたい」「有名になりたい」など、自己中心的な願いばかりを伝えてしまうと、神道の精神とは少し離れてしまいます。大切なのは、「なぜそれを願うのか」「それが実現したら何をしたいのか」という動機や目的です。


一度の参拝で結果を期待してしまう

神様とのご縁は、長く丁寧に育てていくものです。一度参拝しただけで「効果がない」と判断するのは早計です。日々感謝を伝える姿勢が大切です。


感謝を忘れてしまう

願いが叶ったときに、それを当然のことと思い、感謝の気持ちを忘れてしまう方がいます。これでは神様とのご縁が薄れてしまいます。小さなことでも感謝を忘れずに、お礼参りをすることが大切です。


願いを届けるために大切な参拝の心構え


では、どのような心で神社に向かうべきでしょうか。私がいつも参拝者の皆様にお伝えしているポイントは以下の3つです。

1. 感謝を伝えることを最初に

お願いの前に、まず「日々の暮らしを無事に過ごせていること」への感謝を伝えましょう。朝起きられたこと、家族が健康でいること、仕事があることなど、当たり前だと思っていることにも神様のご加護があります。この感謝の気持ちが、神様とのご縁を深める第一歩です。


2. 具体的な願いと決意を伝える

「〇〇のために努力しています。どうか見守ってください」と、行動と願いを結びつけて伝えることが大切です。例えば、「合格祈願」なら「毎日〇時間勉強しています。最後まで諦めずに頑張りますので、どうか見守ってください」といった具合です。


3. 定期的に参拝する

初詣だけでなく、節目節目に神様にご挨拶に行くことで、ご縁が深まりやすくなります。月に一度でも、季節の変わり目でも構いません。継続的に参拝することで、神様に自分の真剣さを伝えることができます。


4. 日常生活での心がけも大切

参拝は神社でだけ行うものではありません。日常生活の中で、他人への思いやりを持ち、誠実に生きることも、神様への祈りの一つです。優しい言葉をかける、困っている人を助ける、そうした小さな行いが積み重なって、神様のご加護をいただけるのです。


御祈祷を通して願いを届けるという選択も


「より強く願いを届けたい」「人生の節目に祈願したい」というときには、神職による正式な御祈祷を受けるのもおすすめです。

御祈祷では、神様の前で神職がご祈念申し上げ、参拝者の願いを丁寧に伝えます。祝詞の中にお名前や具体的な祈願内容を織り込み、より深い祈りを捧げることができます。

私が御祈祷を行う際、いつも心がけているのは、参拝者の方の心からの願いを神様に確実にお伝えすることです。一人ひとりの事情や想いに寄り添い、真心を込めて祈らせていただいています。

また、最近では遠方の方や、直接の参拝が難しい方のために、オンラインでの祈願・祈祷受付も行っている神社が増えています。物理的な距離に関係なく、心を届けることができる素晴らしい仕組みです。


御祈祷を受ける際のポイント

・事前に電話やメールで予約をとる
・祈願内容を具体的に伝える
・感謝の気持ちを忘れずに
・御祈祷後も継続的な努力を怠らない


御祈祷を受けたからといって、それだけで願いが叶うわけではありません。むしろ、御祈祷は「神様との約束」のようなものです。その約束を果たすための努力こそが、最も大切なことなのです。


まとめ|神様に願いを届けるために大切なのは「心と行動」


神社は、願いを「叶えてくれる場所」ではなく、願いを「誓う場所」です。

参拝とは、自らの決意を神様に伝え、見守っていただくための大切な行いです。願いが叶うかどうかは、神様のご加護とともに、私たち自身の努力にもかかっています。

私がこれまで多くの参拝者の方々と接してきた中で実感するのは、願いが実現される方には共通点があるということです。それは、神様への感謝を忘れず、誠実に努力を続けている方々だということです。

時には思うような結果が得られないこともあるでしょう。しかし、それは神様が私たちに「もう少し頑張ってみなさい」「別の道があるかもしれませんよ」と教えてくださっているのかもしれません。

神様に誠実な心で向き合い、日々の生活に感謝しながら過ごしていくことで、きっと道は開けていくはずです。そして、その道のりこそが、私たちにとって最も大切な成長の機会となるのです。

参拝は決して一方的なお願いではありません。神様との対話であり、自分自身との約束でもあります。その気持ちを大切にして、これからも神様とのご縁を深めていっていただければと思います。