2025/07/30 09:49
皆様、こんにちは。日頃から当神社にお参りいただき、誠にありがとうございます。
神社を訪れる際、必ず最初に出会うものが「鳥居」ですね。多くの方が何気なくくぐっていらっしゃいますが、実は鳥居には深い意味があり、通り方にも大切な作法があることをご存知でしょうか。
今日は宮司として、鳥居の意味や正しい通り方について、日頃の経験も交えながらお話しさせていただきます。
鳥居とは?神様の領域を示す「結界」の役割
鳥居は、単なる神社の目印や装飾品ではありません。俗世と神域とを隔てる「結界」として、とても重要な役割を担っています。
私たちが日常生活を送る世界と、神様がお鎮まりになる神聖な空間を分ける、いわば「境界線」なのです。鳥居をくぐることで「これから神様の前に入らせていただく」という気持ちの切り替えができ、心を整えて参拝に向かうことができます。
鳥居の起源については諸説ありますが、古くは神様が降臨される際の「よりしろ(依り代)」とされていたという説もあります。天照大神が天岩戸にお隠れになった際、神々が鶏を鳴かせるために設けた止まり木が起源だとも言われています。
現在でも、神聖な世界への入り口として、私たちと神様を繋ぐ大切な役割を果たしているのです。
鳥居を通るときの正しい作法とは?
それでは、鳥居を通る際の基本的な作法をご紹介します。難しいことはありませんので、ぜひ覚えて実践してみてください。
一礼してからくぐる
鳥居の前で一度立ち止まり、軽くお辞儀をしてからくぐりましょう。「神様の領域に入らせていただきます」という謙虚な気持ちを込めて。深々とする必要はありません。15度程度の軽い会釈で十分です。
中央を避けて通る
鳥居の中央部分は「正中(せいちゅう)」と呼ばれ、神様の通り道とされています。私たち人間は、左右どちらかに寄って通るのが礼儀です。特に決まりはありませんが、右側を通る方が多いようですね。
帽子やサングラスを外す
神前に入る際は、できるだけ帽子やサングラスを外しましょう。これは相手に対する基本的な礼儀の表れです。ただし、医療上の理由がある場合や、強い日差しから目を守る必要がある場合は、無理をする必要はありません。
足音を立てずに静かに通る
神域に入る際は、できるだけ静かに歩きましょう。急ぎ足ではなく、落ち着いた歩調で通ることが大切です。
鳥居の前でやってはいけないNG行動とは?
長年宮司を務めていると、時折残念に思う光景を目にすることがあります。悪意はないのでしょうが、知らず知らずのうちに不適切な行動をとってしまう方もいらっしゃいます。
鳥居の下で立ち止まって談笑する
鳥居は通過する場所であり、待ち合わせ場所ではありません。記念撮影で一瞬立ち止まる程度なら問題ありませんが、長時間留まったり、大声で会話をするのは避けましょう。特に複数のグループが鳥居の下で集まってしまうと、他の参拝者の妨げにもなります。
写真撮影に夢中になりすぎる
記念撮影自体は問題ありませんが、鳥居を遊び感覚でくぐったり、ふざけてポーズを取りながら写真を撮るのは不適切です。また、撮影に夢中になるあまり、一礼を忘れてしまうのも残念なことです。
駆け足で通る、無言で通り過ぎる
時間に追われていても、神域に入る際はできるだけ落ち着いて通りましょう。一礼を忘れずに、心を整えてから参拝に向かうことが大切です。
鳥居に触れたり、もたれかかったりする
鳥居は神聖なものです。不用意に触れたり、もたれかかったりするのは避けましょう。特にお子様連れの方は、お子様が鳥居で遊ばないよう見守っていただければと思います。
季節や時間帯による注意点
朝の参拝時
早朝の清々しい空気の中での参拝は格別です。この時間帯は特に神聖な雰囲気が漂いますので、より一層丁寧な作法を心がけていただければと思います。
夕方以降の参拝
日没後の参拝も可能ですが、足元に十分注意してください。鳥居をくぐる際も、慌てずにゆっくりと通るようにしましょう。
お祭りや行事の際
多くの参拝者で賑わう際も、基本的な作法は変わりません。混雑していても、可能な限り一礼をしてから通るよう心がけてください。
子どもたちにも教えたい鳥居の作法
お子様連れで参拝される際は、ぜひお子様にも鳥居の意味や作法を教えてあげてください。「神様にご挨拶してから入ろうね」と声をかけるだけでも、お子様の心に神様への敬う気持ちが芽生えます。
小さなお子様には難しいかもしれませんが、親御さんが手本を示すことで、自然と身につけることができるでしょう。
まとめ:鳥居をくぐることは神様への第一歩
鳥居は、私たちと神様を繋ぐ大切な「門」であり、俗世と神域を分ける「結界」です。通る際の心構えや作法を知ることで、より丁寧で心のこもった参拝ができるようになります。
忙しい日常生活の中でも、神社に足を運ぶ時はほんの少し立ち止まり、鳥居の前で一礼することで、心が落ち着き、清らかな気持ちになれるはずです。
神様は、私たちの真摯な気持ちを必ずご覧になっています。形式にこだわりすぎる必要はありませんが、敬う心を忘れずに、鳥居をくぐっていただければと思います。
これからも皆様が心安らかに参拝できるよう、私たちも努めてまいります。何かご不明な点がございましたら、お気軽に社務所までお声かけください。
皆様のお参りを、心よりお待ちしております。